ノエルが僕の目の前で歌った日
チケットはすでにゲットしていたので、その日に合わせてあれこれスケジュール調整をして迎えた24日は5月の金曜日。
ノエル・ギャラガーの名古屋でのLiveは夜の7時からってことで、それまでの時間をどう過ごそうかあれこれ考え、いっそ今回はベタな名古屋観光をしてやろうと思い立って、名古屋城と徳川園を目的として設定し、その場所を調べてから同じく楽しみのひとつとなるグルメでも、ラーメンとピザでいこうと決め、電車に乗り込みました。
名古屋駅に着いたのが10時過ぎくらいで、そこから東急ハンズでスカルプジェットを購入し、駅周辺をぶらっとした後、徳川園と名古屋城が地下鉄名城線でいけるってことで、その区間にある普段はなかなか行けない「豚そばぎんや」で昼飯をとることに。
といっても、あまりに土地に不慣れなもので地図でおおよそは分かっても、いざ店を見つけるために歩きだしたら見事に道に迷い、駅から徒歩10分のところを30分近くかけていく羽目に。
そして、それがのちの不幸の伏線となっていくことにもなって。
自分が店内に入ったところで客は満員となり、次に来た客から外で待たされるのを見てラッキーと思いつつ、オーソドックスな豚そばを注文し完食。
スープを残したのはあくまで健康のためで、全部飲み干してもいいほどまろやかでコクがある、さすがの味でした。
次に目指したのが徳川園で、ここもまた最初に見た案内よりも辿りつくまで歩くこととなり、しかもチケットを買う際に売り場のおばさんに「一般でいいの?学生さんじゃないの?」と聞かれる始末。
いやいや、もう結構におっさんですから。
美術館とセットのやつにしたんですが、事前の計画で地下鉄をフルに活用すると分かったので1日券を利用してたら、それで200円割引になったのはまたもラッキーとはなったんですが、トータルで言えばそこまでの幸運とは言えないことに。
以前に福井の兼六園を見た経験のせいか、それと比べるとやや物足りない印象も、これが民家の庭だと考えたらそれは確かにかなりの贅だなぁと思い、「滝」と名のついたポイントも、ナイアガラの滝を見た経験が貧相さを先に喚起させつつ、でも時代性などからその手間を思ったらスゴイよねと脳内修正を繰り返し散策しました。
美術館は国宝など貴重な品々が陳列していて、「ふへぇ」と感嘆しながら、あとは想像力勝負っていう部分があり、いかに「当時の現実」をリアリティを持って思いめぐらせ、そこにこれが実際に存在していたという変換作業を必死にしながら、なんとかチケット代の元を取るだけ楽しもうというセコイ発想が幅を利かせていました。
でも、何気に隣接する蓬左文庫だったかな?っていう江戸時代の書物や風物画の方が、素直に面白がれてたりしたんですが。
マンガ大国日本の血は、ここでもすでに息づいてたんだなぁと大いに実感しながら。
で、徳川園を出るとき、入場とは違う出口を使ったものでまた道に迷い、道路標識だけを頼りに歩くことに。
途中、白壁という名古屋の白金みたいな場所を通ったんですが、すれ違った女子高生の中にめちゃくちゃかわいい子がいて思わずビクンとしてしまいした。
メガネをしていてオカッパ、もちろん黒髪で垢抜けない雰囲気なんですが、品がよくその素材は間違いなく本物。
いやぁ、いまでもこんな子が日本にいたんだぁって徳川美術館よりも感動し、いいものを見たなぁと思ってしまったのは性根の不埒さゆえか。
その感動も徒歩続きですぐに掻き消え、名古屋城への行き方を尋ねるために思わず交番に頼ってしまったのは、体力より先に精神が弱っていた証拠か。
ここから5分くらいとあっさり言われ、それだけ歩いたんだという愕然とする思いが安心より先立つほどでしたから。
名古屋城については、多分昔むかしに行ったことがあると思うんですが、久しぶりに見ても記憶がよみがえることはほぼなく、唯一併設するレストランに見覚えを発見したくらいで。
建物自体の感想は特にこれといってはってな話なんですが、外国人観光客が多く、それは欧米系からアジア系という幅の広さもそうだし、さらに修学旅行生からいわゆる歴女らしき人たちなども含め、さすがに観光名所だなぁってな思いが一番強かったのかな。
ここでもガッツリと野外を歩きました。
こちらでは簡単に地下鉄を見つけ、栄まで移動。
手荷物としての重さを考え、最後に買うことにしておいたスカルプシャンプーとコンディショナーを手に入れ、そこでようやく休憩時間を挟もうとしたんですが、どうやら時すでに遅しだったらしく。
なぜか豚が横断歩道にいて、それを引っ張る女性飼育員らしきひとが二人という光景や、新人警察官らしき4人組があまりに緊張感なく談笑している様子に名古屋らしさを感じながら歩いていたら、足取りがドンドンと重くなり、やがてふらふらしてきたんです。
一応、せっかくのコンサートってことでいつもよりオシャレな靴を履いてたせいもあり、足の裏の痛みが出てきたのもあれば、仕事は室内でやっているから外気や太陽光への不慣れさもあれば、朝10時からそのときの時間の午後4時くらいまで歩き詰めってこともあれば、あとで知ったのですが気温が事前に調べていたよりも高くなっていて、しかも服も重ね着なんてしてたもので体に熱がこもったこともあっての、疲労と熱中症のダブルパンチに襲われたらしく。
自分なりに水分補給はこまめにしていたし、去年の夏にも海外旅行先のバルセロナやパリの暑い日差しの中歩いて、ガシガシHPが減っていった経験を踏まえ、日ごろから暇があるときには散歩するようにしたんですが、どうやら過信と誤認があったようです。
その時点で予定していた晩御飯のピザはあきらめ、まずはライブ会場近くまでなんとか移動し、目に付いたベンチで座って体調が回復するまでひたすらジッとすることにして。
いや、最悪119番だなとか、ライブはあきらめるしかないかもって、ホントにギリギリまでそう思ってたんです。
ポカリを片手に真っ白になったジョー状態を30分、自分の体に尋ねたらなんとか動けるってことだったので、GOサインを出して会場入り。開場時間を待つことにしました。
が、悲劇はそれだけで終わりませんでした。
「あれぇ、あんま人が集まってこないなぁ」なんて思いながらあたりを見渡しながら、ふと「もしかして」とチケットを見直してみたら、なんとライブが行われる会場を間違えてたんです、自分。
最初にノエルの名古屋ライブの場所を見た時、「あぁ、行ったことがある。真綾ちゃんがやったとこね」として愛知県芸術劇場大ホールを認識してたんですが、どこかで「奥田民生がやったとこね」に記憶がすり替わり、中京大学文化市民会館でインプットされちゃったんですよね。
しかも、「行ったことがある」せいでルートを確認せずに行けちゃったことが不幸に拍車をかけてしまい。
さっきまでのグッタリ感はキレに吹っ飛び、慌ててどうするべきかを考えました。
でも、パニくってたので愛知県芸術劇場がどこだったが思い出せなくなり、いまから本屋に行って地図を調べてなんてやってられないし、当然そこから地鉄を乗り継いでなんてしてたら時間もないと思い、まずは名古屋駅まで戻ってそこからタクシーだと思ったんです。
実は金山駅に着いた時点で、金山からの帰りの電車のチケットをすでに買っていたのに。
名古屋駅まで戻らなくても金山からタクシーに乗ればよかったかも、とか、タクシーが一台も停車してなかったらどうしようなど、電車の中でドキドキしながら無事にタクシーに乗車し、どうにかこうにか会場に到着。
ドキドキを紛らわせるために普段ではありえないほど運転手さんと話をし、年齢の話題となって自分の年を教えたら「ものすごー若こう見えるよ」とこちらは徳川園で言われた言葉のてんどん攻撃が待っていて、ガチで驚いたドライバーの「苦労なかったんか?」という失礼な発言まで導き出したことはこの際ご愛嬌で。
会場ではこちらの凡ミスやそのためのドキドキなど当然知る由もなく、大勢の客の熱気に包まれていて、ノエルってことでヨーロッパ系の男性の姿もチラホラ。また、マンチェスターシティのユニフォーム姿の人もいたり。
開演予定時間の夜7時からそこそこ待たされて始まったライブは、当然のようにノエルの登場から客が総立ちで、オアシス時代の曲2連発からハイフライングバーズの曲はおおよそパフォーマンスし、楽曲のクオリティの高さと厚みのある音を聞かせてくれました。
ただ、本人も想定通りだろうけど、中盤からアンコールまで畳み掛けたオアシス時代の曲での盛り上がりは桁が違っていて、おとなしいことで有名な名古屋圏の客すら合唱させていました。
きっと完成度や美意識の高さで言えば、いまのノエル自身の自信や確信の上で言っても、ハイフライングバーズでの曲の方が優れているのでしょう。
けど、一般リスナーに火をつけるのは必ずしもそうならないっていうのは、奥田民生でも既知のことで、例えば広瀬香美のヒット曲のほとんどがデビュー前に書いたものだったってことからみても、作り手自身がまだ素人として素直に作ったものだったり、こんな曲を聴きたいとか楽しいと思ったものの方が、普通のファンにとっても自然と聞けるし、テンションが上がるんだろうなぁと改めて思ったり。
といっても、「Don’tLookBackInAnger」なんて大名曲は、いつ世に出ようともそんなちっちゃい問題など関係ないってな話しなんでしょうが。
だって、こんな自分ですら思わず両手を天に掲げてましたもん。
サビはノエルたちの演奏に客の声が響くあの狂喜乱舞具合。
ファンにとって、最も居合わせたい空間にいれる幸せを、十分に堪能させてもらいましたさ。そこに至るまでのあれこれを彼方に押しやるほどに。
ひとつだけ残念だったというのか、なんとかしたかったのは、演奏と演奏の間って客から舞台に声が飛ぶじゃないですか、ライブって。あれが「ノエルー」って名前を呼ぶことしかできなかったんですよね、みなさん。しかも、名前を呼ぶ人もかなり限られてたし。
最後、ノエル自身が苦笑いしてましたから。「それしかないのか」「あいつしか叫んでないじゃないか」的な。
まぁ、しょうがないんですけどね。
帰宅する間、Ipodで聞いていたのはもちろん、それ以降もしょっちゅう聞いているのが「ファミリートゥミリオンズ」のライブ盤の「Don’tLookBackInAnger」なのは言うまでもありません。
っていうか、いろんなミスの原因が欝っ気からくる無気力のせいだと思うから、そちらの問題に今度は取り組まないといけないなぁ。


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